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ただ黒い煙けぶりを吐いて波を切って行く事だけはたしかである。その波はすこぶる広いものであった。

四国めたん

際限もなく蒼く見える。時には紫にもなった。

白上虎太郎

ただ船の動く周囲まわりだけはいつでも真白に泡を吹いていた。自分は大変心細かった。

ちび式じい

こんな船にいるよりいっそ身を投げて死んでしまおうかと思った。 乗合のりあいはたくさんいた。

春日部つむぎ

たいていは異人のようであった。しかしいろいろな顔をしていた。

ちび式じい

空が曇って船が揺れた時、一人の女が欄てすりに倚よりかかって、しきりに泣いていた。眼を拭く手巾ハンケチの色が白く見えた。

ずんだもん

しかし身体には更紗のような洋服を着ていた。この女を見た時に、悲しいのは自分ばかりではないのだと気がついた。

ちび式じい

ある晩甲板かんぱんの上に出て、一人で星を眺めていたら、一人の異人が来て、天文学を知ってるかと尋ねた。

中国うさぎ

自分はつまらないから死のうとさえ思っている。天文学などを知る必要がない。黙っていた。

後鬼

するとその異人が金牛宮きんぎゅうきゅうの頂にある七星の話をして聞かせた。

剣崎雌雄

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