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とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。

麒ヶ島宗麟

そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。

WhiteCUL

 その代りまた鴉がどこからか、たくさん集って来た。

白上虎太郎

昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾のまわりを啼きながら、飛びまわっている。

猫使アル

ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻をまいたようにはっきり見えた。

冥鳴ひまり

鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、啄みに来るのである。

WhiteCUL

――もっとも今日は、刻限が遅いせいか、一羽も見えない。

青山龍星

ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉の糞が、点々と白くこびりついているのが見える。

剣崎雌雄

下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の襖の尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰を気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。

No.7

 作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。

雨晴はう

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