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「あ、そうだそうだ」その時私は袂たもとの中の檸檬れもんを憶い出した。

満別花丸

本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試してみたら。「そうだ」  私にまた先ほどの軽やかな昂奮が帰って来た。

ずんだもん

私は手当たり次第に積みあげ、また慌あわただしく潰し、また慌しく築きあげた。

中部つるぎ

新しく引き抜いてつけ加えたり、取り去ったりした。奇怪な幻想的な城が、そのたびに赤くなったり青くなったりした。

青山龍星

 やっとそれはでき上がった。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬を据えつけた。そしてそれは上出来だった。

ぞん子

 見わたすと、その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた。

小夜/SAYO

私は埃ほこりっぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。私はしばらくそれを眺めていた。

麒ヶ島宗麟

 不意に第二のアイディアが起こった。その奇妙なたくらみはむしろ私をぎょっとさせた。

満別花丸

 ――それをそのままにしておいて私は、なに喰くわぬ顔をして外へ出る。――  私は変にくすぐったい気持がした。

WhiteCUL

「出て行こうかなあ。そうだ出て行こう」そして私はすたすた出て行った。

春歌ナナ

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