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ぐっと束つかを握って、赤い鞘を向へ払ったら、冷たい刃が一度に暗い部屋で光った。

猫使ビィ

凄いものが手元から、すうすうと逃げて行くように思われる。

四国めたん

そうして、ことごとく切先へ集まって、殺気を一点に籠めている。

後鬼

自分はこの鋭い刃が、無念にも針の頭のように縮められて、九寸五分の先へ来てやむをえず尖ってるのを見て、たちまちぐさりとやりたくなった。

中国うさぎ

身体の血が右の手首の方へ流れて来て、握っている束がにちゃにちゃする。唇が顫えた。

もち子さん

短刀を鞘へ収めて右脇へ引きつけておいて、それから全伽ぜんがを組んだ。――趙州じょうしゅう曰く無と。無とは何だ。糞坊主めとはがみをした。

麒ヶ島宗麟

奥歯を強く咬み締しめたので、鼻から熱い息が荒く出る。こめかみが釣って痛い。

中国うさぎ

眼は普通の倍も大きく開けてやった。 懸物が見える。行灯が見える。畳が見える。

後鬼

和尚の薬缶頭がありありと見える。鰐口を開あいて嘲笑った声まで聞える。怪しからん坊主だ。

後鬼

どうしてもあの薬缶を首にしなくてはならん。悟ってやる。無だ、無だと舌の根で念じた。

青山龍星

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