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自分は首を前へ出して冷たい露の滴したたる、白い花弁はなびらに接吻した。

青山龍星

自分が百合から顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、暁の星がたった一つ瞬いていた。

中国うさぎ

「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。

青山龍星

第二夜 こんな夢を見た。 和尚の室を退って、廊下伝いに自分の部屋へ帰ると行灯あんどうがぼんやり点っている。

猫使ビィ

片膝を座蒲団の上に突いて、灯心を掻き立てたとき、花のような丁子ちょうじがぱたりと朱塗の台に落ちた。

雨晴はう

同時に部屋がぱっと明かるくなった。 襖の画えは蕪村の筆である。

雀松朱司

黒い柳を濃く薄く、遠近おちこちとかいて、寒そうな漁夫が笠を傾けて土手の上を通る。

雀松朱司

床には海中文殊の軸が懸っている。焚き残した線香が暗い方でいまだに臭っている。

小夜/SAYO

広い寺だから森閑として、人気がない。

九州そら

黒い天井に差す丸行灯の丸い影が、仰向く途端に生きてるように見えた。

冥鳴ひまり

Books

檸檬 NEW

梶井基次郎

夢十夜

夏目漱石

走れメロス

太宰治

雨にも負けず

宮沢賢治

羅生門

芥川竜之介