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メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。

WhiteCUL

はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。

麒ヶ島宗麟

「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞えた。

WhiteCUL

「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。

栗田まろん

「フィロストラトスでございます。貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。

雨晴はう

「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方かたをお助けになることは出来ません。」

琴詠ニア

「いや、まだ陽は沈まぬ。」

ナースロボ_タイプT

「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」

九州そら

「いや、まだ陽は沈まぬ。」メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。

No.7

「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。

冥鳴ひまり

Books

檸檬 NEW

梶井基次郎

夢十夜

夏目漱石

走れメロス

太宰治

雨にも負けず

宮沢賢治

羅生門

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