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仰向いてこの態度を眺めていた一人の若い男が、自分の方を振り向いて、

もち子さん

「さすがは運慶だな。眼中に我々なしだ。天下の英雄はただ仁王と我とあるのみと云う態度だ。天晴れだ」と云って賞ほめ出した。

猫使ビィ

自分はこの言葉を面白いと思った。それでちょっと若い男の方を見ると、若い男は、すかさず、

No.7

「あの鑿と槌の使い方を見たまえ。大自在だいじざいの妙境に達している」と云った。

ナースロボ_タイプT

運慶は今太い眉を一寸の高さに横へ彫り抜いて、鑿の歯を竪たてに返すや否や斜はすに、上から槌を打ち下おろした。

剣崎雌雄

堅い木を一刻きざみに削って、厚い木屑が槌の声に応じて飛んだと思ったら、小鼻のおっ開ぴらいた怒り鼻の側面がたちまち浮き上がって来た。

猫使アル

その刀とうの入れ方がいかにも無遠慮であった。そうして少しも疑念を挾さしはさんでおらんように見えた。

ずんだもん

「よくああ無造作に鑿を使って、思うような眉まみえや鼻ができるものだな」と自分はあんまり感心したから独言ひとりごとのように言った。

猫使ビィ

するとさっきの若い男が、 「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋うまっているのを、みと槌の力で掘り出すまでだ。

剣崎雌雄

まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。

あいえるたん

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