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人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。

雀松朱司

どうとも、勝手にするがよい。やんぬる哉。――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。

剣崎雌雄

 ふと耳に、潺々せんせん、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。

麒ヶ島宗麟

すぐ足もとで、水が流れているらしい。

満別花丸

よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々と、何か小さく囁きながら清水が湧き出ているのである。

満別花丸

その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。

栗田まろん

ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。

玄野武宏

肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。

中国うさぎ

斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。

冥鳴ひまり

私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。

春歌ナナ

Books

檸檬 NEW

梶井基次郎

夢十夜

夏目漱石

走れメロス

太宰治

雨にも負けず

宮沢賢治

羅生門

芥川竜之介